失敗しないアセットアロケーションの決め方

始めるために

こんにちは、元外資系ファンドマネジャーのやすたろです。

今回は、失敗しないアセットアロケーションの決め方について説明していきます。

いざ投資を始めようとすると、資産の分散が大切だということで、国内外の株式、リート、債券、そして金などのコモディティなど複数資産への分散投資を検討している人はいないですか?

また、分散が大切なのは分かったけど、どれをどれくらい買えばいいか分からないという理由でバランスファンドやプロが管理してくれるラップ口座、最近ではロボアドバイザーなどに自分の大事な資産を任せようとしてはいないですか?

 

資産はネット銀行の預金と株式インデックスファンドだけでいい

私は個人の資産配分は、ネット銀行の預金と株式インデックスファンドだけでいいと考えています。

なぜなら複数資産を持つことによる資産分散のプラスの効果よりコストの増加によるマイナスの影響のほうが高いからです。

複数資産を組み入れることによる分散効果は確かにあります。

そして、特に国内株式と国内債券は相関がかなり低く分散効果が高く現れやすいです。

しかし、今の低金利の国内債券を持つメリットはどれくらいあるのでしょうか?

例えば、国内株式ファンドのリスクとリターンが20%と5%、国内債券ファンドのリスクとリターンが3%と1%、で50%ずつ組み入れたときの分散によるリスク削減効果が1.5%あるとします。

このポートフォリオのリスクとリターンはそれぞれ10%と3%となり、確かに分散によってリスクあたりのリターンは高まります。

しかし、このポートフォリオを組むための管理料が余分に1%かかってしまうとポートフォリオのリターンは2%となり、国内株式ファンドを半分だけ持っている場合の2.5%を下回ることになります。

 

「国内株式ファンドと国内債券ファンドを個別で購入し、個人でポートフォリオを作ればどうか?」

国内債券ファンドのコストは国内株式ファンドより割高です。

両方ともインデックスファンドだったら信託報酬は同じくらいだって?

そうです。
しかし、表面上の信託報酬は同じでも、リターンあたりの信託報酬の割合は変わってきます。

先ほどの例の国内株式ファンドの場合、リターンが5%のうち報酬は0.5%だったらリスクを取って稼いだリターンのうち90%は自分のものになります。一方、国内債券ファンドの場合は1%のうち0.5%を報酬でとられると50%しか手元に残りません。

この信託報酬も含めて国内株式ファンドと国内債券ファンドを50%ずつ組み入れたポートフォリオのリターンを求めると、2.5%になります。

一方、国内株式ファンドのみの場合は2.25%となり、若干国内債券ファンドも含めたポートフォリオのほうがリターンは高くなりそうですが、残りの半分を年利0.5%でネット銀行に預けていたらリターンは同じになります。

他の資産クラス間の分散効果も似たようなもので影響は限定的といえます。

複数資産を保有することのよる分散効果は確かにありますが、分散効果よりプロに頼むアセットアロケーションの管理費用のほうが高くつきますし、自分で各資産のファンドを購入し、複数資産のポートフォリオを構築してもコストが割高な資産クラスを保有することでリスクリターンのバランスはトントンになる、ということです。

また、預金を増やすことでなにか会った時の現金をすぐに用意できるということや、ポートフォリオをシンプルにすることで自分がなにをどれくらいもっているかを分かりやすくするというメリットもあります。

国内株式ファンドと海外株式ファンドの両方に分散させる

「米国は成長率が高いけど、日本はゼロ成長だから魅力ない」

そういって、成長性が高い米国のみの株式ファンドに集中する人も多いですが、日本株式も含めて世界全体に国を分散させておいたほうがいいですよ。

なぜなら成長性とリターンは関係ないから。

厳密にいえば、“予測されている”成長性はすでに価格に織り込まれているため、想定どおりの高成長をしてもリターンはよくなりません。

そして、この予測されている成長性と実際の成長性のズレを予想して収益源とすることはプロでも難しいため、ふつうの個人投資家はやらないほうが賢明です。

結局は、リターンはリスクによって決まると考えて幅広く国を分散させておいたほうが分散効果も高まりリターンの改善につながります。海外ファンドだからといってコストが割高というわけでもありません。

個人的には日本と先進国株式を半分ずつとかでいいと思いますが、このあたりは個人の好みで大丈夫です。ある程度分散させておけばあまり影響は変わらないので。

 

自分のリスク許容度について考える

最後に、自分のリスク許容度はどれくらいかを理解する必要があります。

自分はどれくらいリスクを取れるか知るということです。

投資で成功するためには、これが一番大切かもしれません。

よくリスク許容度を測るために、

「どれくらいなら損をしてもいいか?」

「余剰資金はどれくらいか?」

という質問がされますが、正直、投資初心者にこういう質問をしてもあまり意味がないように思えます。

なぜなら、

「1円でも損はしたくない!」

「大事なお金なので、余っているお金はない!」

というのが本心だと思うからです。
そうですよね?

また、相場が上昇局面では、「もっと投資金額を増やしておけばよかった」と残念がり、相場の下落局面では、「やっぱりこんなに買うのではなかった」と後悔します。

結局、主観的なリスク許容度は相場やそのときの気分によって変わってしまうのです。

それであれば、客観的なルールに従って投資金額を決めていけばどうでしょうか?

よくあるルールに120―年齢を株式に投資するというのがあります。

40歳なら、120−40で余剰資金(今の生活を維持するのに不要なお金)の80%を株式ファンドに投資するというものです。

年齢が若いということは人的資産があるということです。
なので、ある程度リスクを取って投資で失敗したとしても仕事で稼ぐことができます。
一方で、年をとって人的資産が少なくなってから投資で大きく失敗すると、とりかえしがつかなくなるためリスクをとる量を減らすということです。

まとまったお金ができたといって退職金すべてでリスクの高い投資をしようとしている人はいないですよね?
そんなことはダメですよ!

最近は人生も価値観も多様化しているため、一概にはいえませんが、自分の状況を反映し、自分なりの客観的なルールを作っておくことをおすすめします。

もちろん状況が変わればルールを変える必要がありますが、状況が変わらないのであればなるべくルールを変えないことが大切です。

そうでなければ、相場の変動に心を揺さぶられて短期的な売買に走ってしまい、長期的な資産形成が失敗してしまう恐れがありますので。

 

今回のテーマのまとめ

・個人の資産配分は、ネット銀行の預金と株式インデックスファンドだけでいい

・株式ファンドは世界全体に分散させておいたほうがいい

・事前に自分にあった投資金額のルールを決めておく

 

最後までみていただき、ありがとうございました。
ご意見などありましたら、連絡いただければと思います。

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