NISAとiDeCoを比較して、自分に合った非課税口座を活用しよう

始めるために

こんにちは、元外資系ファンドマネジャーのやすたろです。

税金は投資における最大のコストです」で税金の支払いを先送りにすることの大切さを説きましたが、一般の証券口座で投資をする限り、最終的には税金を収める必要があります。

しかし、納税を免除されるお得な制度があります。

それが、「NISA」「iDeCo」です。

 

「NISA」口座内の利益は非課税になる

「NISA]とは、英国のISA(Individual Savings Account)をモデルにした日本版ISAのことで、NISA(Nippon Individual Savings Account)という少額投資非課税制度のことです。

要は、NISA口座内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になるということです。

NISAのなかにも、「NISA」「つみたてNISA」があり、どちらかを選ぶことができます。

詳しくは証券会社や金融庁の説明を参照すればいいと思いますが、要約すると以下の通りです。

「NISA」:年間の新規投資額120万(累積非課税枠600万)、最長5年間、非課税になる
「つみたてNISA」:年間の新規投資額40万(累積非課税枠800万)、最長20年間、非課税になる

いいことばかりに聞こえるNISA制度ですが、デメリットもあります。

それは、損益通算ができないことです。

利益が出ても税金がかからないという投資家にとっては夢のような制度ですが、
損失が出た場合には、ほかの証券口座からの利益と相殺することはできません。

また、損失の繰越控除もできません。

ただ、大きなデメリットについてはこれくらいなので、メリットのほうが多いとは思います。

そして、どちらの「NISA」を選ぶかについては、制度を理解した上でどちらにするかご自身で決めればいいと思いますが、個人的にはつみたてNISA」を勧めます

理由としましては、

  • 合計の非課税枠が大きい
  • より長期で投資できるため、大きなリターンを期待できる
  • より長期で投資できるため、元本割れする確率を下げることができる

などです。

自分でも制度の理解をしてどちらが自分にふさわしいか判断してください。

 

他にも未成年向けの「ジュニアNISA」もありますが、こちらは資金の払い出し制限もありますので、制度を正確に理解した上で利用したい人は利用すればいいかと思います。

 

「iDeCo」とは個人で積み立てる退職金

「iDeCo」とは、iDeCo(individual-type Defined Contribution)、個人型確定拠出年金のことです。

まず、「確定拠出年金ってなに?」という人向けにざっくりと説明すれば、企業年金、要は、退職金制度のことです。

退職金には、税制上の優遇処置がされているので、自営業者や会社に退職金制度が導入されていない場合は、自分で加入して積み立て運用して老後の資金にしましょう、ということです。

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詳しくは知りたいかたはこちらのサイトを参照ください。

 

例えば、毎月の掛け金を2万円として税率が(所得税20%、住民税10%)の場合、掛け金2万円の30%が所得から控除され6000円が戻ってきます。年間6000円 x 12ヶ月 = 7万2000円の節税効果があります。

さらに、拠出した資金の運用益についても非課税になります。

けっこう大きいですよね?

ただ、iDeCoの受け取り時には退職所得としての税金がかかってきます

しかし、安心してください。

退職金の税金はかなり安くなるように設計されているため、
え? それだけでいいの?」というくらい低い納税になるかと思います。

先ほどの例で30年間iDeCoで積み立てを行い、運用で元本720万(年間24万 x 30年)が2000万になったとしましょう。

そして、受け取り時点の年齢が65歳で一時金として受け取った場合、

このとき、かかる税金は、

  • 納税額 = 公的年金等の雑所得 x (所得税率+住民税率)
  • 公的年金等の雑所得  = 退職所得 ー 所得控除
  • 退職所得 = (収入金額 ー 退職所得控除)÷2
  • 退職所得控除 = 40万 x 勤続年数

となります。

 

え? 
まだ、ピンときてないって?

先ほどの例でいうと、
退職所得控除=40 x 30 =1200
退職所得 = (2000ー1200)÷ 2 =400
退職時の年齢が65歳だと、所得控除が110万なので、
公的年金等の雑所得 = 400ー110=290
290万の所得に対する所得税率は10%で控除が9万7500円なので、
納税額=290 x (10%+10%)ー9万7500
   48万2500円となります。

一方、iDeCoに加入せず、証券口座で運用した場合は、
拠出時の戻り部分が7万2000x 30年で216万円
運用益が1280万(2000万ー720万) x 20%で256万円
納税額合計で472万円

どうです?

かなりの節税効果があると思いませんか?
計算は専門家でない私がざっくりと計算したものです。

ケースによって金額は異なってきますので、加入する場合は自分のケースに合わせてよくお調べください。

特に勤める会社に年金制度がある場合などは節税メリットは小さくなるため注意が必要ですよ。

 

ただ、「iDeCo」には大きな欠点があります。

それは、定年(60歳)まで引き出せないということです。
また、「NISA」と同じように、損益通算や損益の繰越もできません

老後の資金として貯めておきたいというかたにはベストな選択肢に成り得ますが、途中で下ろす必要があるかもしれないというかたにはフィットしません

 

「NISA」と「iDeCo」の使い分け方

さて、ここからが本題です。

「NISA」と「iDeCo」、基本的にはお得な制度であり、余裕があれば両方とも加入すればいいと思います。

しかし、そんなに余裕がある人ばかりではないですよね?

何パターンかの例をあげますので、自分にとってどれがふさわしいか考えてみてください。

 

「iDeCo」に加入してはいけない投資家

まず、子供の進学などで資金需要が高まって、定年前に運用商品を売却する必要がでてきそうな方には「NISA」がお勧めです。っていうか「iDeCo」は加入してはいけません

なぜなら、「iDeCo」は60歳まで現金化できないから。

いったん「iDeCo」に加入すると、よほどのことがない限りは期限前の現金化はできませんよ。

 

「NISA」と「iDeCo」の使い分け方

次に、非課税枠をいっぱい確保してもそんなにリスク資産を組み入れたくないという方は、「NISA」で高リスク商品を組み入れ「iDeCo]で定期預金や債券などの低リスク商品を組み入れることがお勧めです。

「iDeCo」は所得税の控除によるメリットが大きいため、運用益がでなくても節税メリットがあるし、「NISA」はいくら利益を出しても非課税なので期待リターンが高い商品を組み入れることが最適解となるからです。

 

非課税口座内の投資商品を売りたくなった場合

最後に、「iDeCo」と「NISA」を使って高リスク商品を組み入れていたが、暴落などでだんだんと怖くなってきて高リスク商品の比率を下げたいと思った場合、「iDeCo」の高リスク資産から売却することがおすすめです。
(売却と現金化は違いますよ。売却して他の定期預金や債券などを購入する組み替えしかできません。)

理由としましては、「iDeCo」は組み替えによる大きなペナルティがないため、落ち着いてきたところで高リスク資産へ再度組み替えることができますが、「NISA」の場合は売却しても非課税枠は回復しないため、同じ枠を使って再度組み入れることができないからです。

このように、制度を理解しているかどうかによって大きくリターンが異なってきます。

 

そう、資産運用で勝つ秘訣は税金制度などお金に関するルールを正しく知ることです!
企業分析などよりよっぽど大切です。

そして、大事なことなので何度もいいますが、制度は変更する場合もありますし、ここでは詳細は省いて概要を説明していますので、加入する前にはご自身で十分調べて、納得した上で加入してください。

 

今回のテーマのまとめ

・「NISA」と「iDeCo」の仕組みを理解しよう

・自分にあった非課税口座を活用し、賢く投資をしよう

 

最後までみていただき、ありがとうございました。
ご意見などありましたら、連絡いただければと思います。

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