こんにちは、元外資系ファンドマネジャーのやすたろです。
リーマンショック以降、米国株式が相対的に堅調だったこともあり、もう米国株式のみに投資しておけばいいみたいな風潮がありますが、私はその意見に反対です。
今回は、なぜ米国株式のみではなく、幅広く全世界へ国を分散させたほうがよいかについて解説していきます。
過去のパフォーマンスと将来のパフォーマンスに関係はない
よく米国株式への集中投資をすすめる理由として、
「過去のパフォーアンスをみると米国への集中投資のほうが全世界への分散投資よりパフォーマンスが良かった。だから、米国のみの投資でいい。」
という意見があります。
確かに、リーマンショック以降の世界の株式市場の推移をみますと、米国が一人勝ちの状態で世界経済を牽引していたのは事実です。
しかし、これって結果論ですよね?
過去のパフォーマンスと将来のパフォーマンスに関係はありません。
事前にどこの国のどこの産業が伸びるということがわかっていればそもそも分散投資なんてせずに、その国のその産業のある会社へ集中投資をすればいい話です。
どこの国がいいか、どの会社がいいか事前にわからないから分散投資をするのです。
1990年のバブル崩壊までは日本のパフォーマンスが世界的にみても良かったのです。だからといってその後も日本株式のみへの投資をおこなっていたら、、、言わなくてもわかりますよね?
成長率と期待リターンに関係はない
「いやいや、米国はイノベーションが起こりやすく今後も高い成長率が期待できるから将来のリターンも良くなるはずだ。」
こういう意見も聞こえてきそうですね。
これは確からしく聞こえるし説得力もありますが、成長率と期待リターンは関係しないんですよ。
「米国がイノベーションが起こりやすい?」
そんなのみんな知っていることです。
「高い成長率が期待できる?」
これから少なくても数年は日本より高い成長が維持されることでしょう。
これらの想定されている成長はすでに株価に織り込まれているのです。
想定以上の高成長でないとリターンにはつながりません。
だからといって、自分がこの予想のコンセンサスより正確な予想ができると思ってはいけません。
この予想は世界中の情報も知識もあるプロの予想なのです。
ふつうの個人投資家が立ち向かうことは不可能です。
分散のやりすぎで分散効果が低減することはない

「米国企業はグローバル企業が多く、米国企業だけでも世界への分散になる」
これもよく目にする意見です。
確かに、米国企業が世界の企業のうち時価総額で過半数を占めていたり、IT企業などを中心に世界中でビジネスをしており世界経済の恩恵を受けていたりと、世界経済の行方は米国企業次第というところもあります。
しかし、リーマンショック以降の全世界株式指数と米国株式指数を比べてみると、米国のみのほうがパフォーマンスが良かったということは、逆に米国のみの分散では不十分だったという証明になるのではないかとも思います。
米国以外に分散を広げたからといって分散効果が低減するわけではありませんし、コストが高くなるわけでもありません。
コストがかからないのであればやったほうがいいということです。
将来はだれもわからない。だから全世界へ分散投資をしよう
もちろん、米国への投資を否定しているのではないですよ。
米国が経済の中心で経済の中心、投資対象の中心であることには変わりありません。
しかし、今後も米国が一人勝ちする環境が続くかはわからないということです。
そして、将来がわからないのであれば、より資産を広く、全世界へ分散投資しておいたほうが賢い投資ということになります。
今回のテーマのまとめ
主張:米国株式への集中投資ではなく、全世界への分散投資をしよう
米国株式への集中投資がいいと言われている理由:
理由①:米国株式への集中投資のほうが全世界株式への分散投資よりパフォーマンスが良かった
→反論①:過去のパフォーマンスと将来のパフォーマンスに関係はない
理由②:米国株式は高い成長が期待できるため、リターンも良くなる
→反論②:成長率と期待リターンに関係はない
理由③:米国企業はグローバル企業が多く、米国企業だけでも世界への分散になる
→反論③:分散のやりすぎで分散効果が低減することはない
結論:将来はわからない。だから全世界へ分散投資をしよう
最後までみていただき、ありがとうございました。
ご意見などありましたら、連絡いただければと思います。
コメント