こんにちは、元外資系ファンドマネジャーのやすたろです。
ここ数年、多くの証券会社で投資信託の積立が行えるようになったことや、国がNISAやiDeCoなどで積立投資を促進させようとしていることもあり、積立投資への関心が高まっています。
そして、毎月決まった金額を決まったタイミングで投資するドルコスト平均法で積立投資をしていれば、リスクは小さく大きなリターンが得られるみたいな間違った風潮が一部で広まっている気がします。
今回は、積立投資を一括投資と比較してメリット、デメリットについて解説し、正しい知識を身につけたうえで、なぜまとまった資金があるなら一括投資のほうがおすすめかということについて説明していきます。
積立投資のメリット
積立投資のメリットとしてよくあがられるのはこのあたりでしょう。
- 平均購入単価を下げることができる
- 下落局面がチャンスになる
- 相場の動きで一喜一憂しなくて済む
平均購入単価を下げることができる
定額でコツコツ買っていくということは値下がりすれば買い付ける数が増加し、値上がりすれば買い付ける数が減少し、平均購入単価を下げることができます。
例えば、毎月1万円で投資信託の積立を行った場合、基準価額が1円の場合(余談ですが、よくみる投資信託の基準価額10,000円みたいな表示は1万口あたりの価額だったりします)は、10,000口を手にすることができますが、基準価額が0.5円になったら20,000口も買うことができます。
そして、平均単価は2万円で30,000万口を保有していることから0.67円になります。
基準価額が1円で10,000口買って、0.5円で10,000口買ってというように決まった口数を買っていた場合の平均単価は0.75円になるため、定額でコツコツ買うことで平均単価を下げることができたということです。
基準価額が上がった場合も同様です。
下落局面がチャンスになる
さきほど説明したように、定額でコツコツ買っていくということは、価格が安いほど大量の口数を買えるということです。安いところで大量に保有できることから、価格が反発したところで大きく利益を伸ばせるようになります。
相場の動きで一喜一憂しなくて済む
そして、下落局面が買い入れ時と思えることで、相場が崩れたときも悲観することがなくなり、相場の短期的な値動きに心を惑わされなくなるということです。
積立投資のメリットは角度を変えて同じことをいっているだけ
なんだかこれだけ聞くと積立投資のメリットはいっぱいあるみたいな気分になりますが、少し待ってください。
結局、いっていることは買入の余力を残しているから下落局面に強いということだけです。
買入の余力があるから、下落局面でナンピンを入れられる。
買入の余力があるから、下落局面でもメンタルが安定させられる。
それだけです。
積立投資のデメリット

次は、積立投資のデメリットをあげていきます。
- 手数料負担が大きくなる可能性もある
- 時間分散はできていない(相場の後半の動きの大きく左右される)
- リターンが小さくなる
手数料負担が大きくなる可能性もある
最低取引手数料みたいなのが定められている場合は購入頻度を高める積立投資をすることによってコストが増加する場合があります。
投資信託は購入手数料無料が増えていますが、ETF含め直接市場で売買しようとした場合はこの最低取引手数料がかかる場合もあるため、要チェックです。
時間分散はできていない
たまに、「積立投資をすることで時間分散ができます」みたいなことをいっている人がいますが、積立投資は時間分散になっていません!
確かに、購入タイミングをずらして購入していくことで購入単価は平準化することができますが、パフォーマンスを安定させるという観点からは分散になっていません。
なぜなら、後半になればなるほど、保有する口数が増えていくため、生涯の投資のパフォーマンスが後半次第となるためです。
9年間毎年10%価格が上昇していても最後の1年で50%下落したら台無しになるのです。
リターンが小さくなる
気づいてない人も多いと思いますが、一括投資に比べて積立投資のリターンは劣後します。
これが最大のデメリットです。
ほかのことはどうでもいいというくらい大きな欠点です。
「なぜなのか?」
それは、積立投資の場合は、下落局面に備えて買入余力を残しているからです。
確かに、下落局面がすぐ来れば積立投資のほうが有利に働くでしょう。
しかし、私たちは下落局面がいつ来るかなんて当てることはできません。
そして、価格は時間が経てば経つほど価格は上がっていきます(そう思っているから投資しようとしているのですよね?)。
積立投資をするということは、長期的に価格が上昇するなかで買い増しを行うということです。
よって一括投資で最初に買えるだけ買ったほうが、リターンは大きくなるのです。
なぜ、まとまった資金があるなら一括投資のほうがおすすめなのか
積立投資のデメリットを理解していれば、答えはわかると思います。
はい、そうです。
リターンが小さくなるからです。
「まとまった資金を一括で投資して大きく損するのが怖い」
そういう気持ちもわかりますが、それは積立投資か一括投資かの問題ではありません。
積立投資をしたところで投資期間が長くなれば投資金額は増えてきますし、リターンが後半の動向に左右されるぶん、生涯の投資パフォーマンスは安定しません。
大きな損に耐えられないのは、ただ単にリスクを取りすぎているだけです。
なにもまとまった資金があるからすべてを投資に回さなければいけないということではありません。
自分が耐えられるリスクのなかで投資を行いましょう。
まとまった資金がない人は積立投資ではじめよう
逆に、まとまった資金がない人は積立投資からはじめてください。
積立投資が一括投資にリターンで劣るのは、手元の資金があるのに投資をしないからです。
毎月数万を貯めながらまとまった資金ができたら投資をしようと考えている人は、すぐに積立投資をはじめることをおすすめします。
時間を見方につけていかに長く投資を継続するか、これが投資で成功するカギになります。
今回のテーマのまとめ
主張:
まとまった資金があるなら一括投資がおすすめです。
理由:
なぜなら、積立投資を行うことで一括投資よりリターンが劣後するからです。
一括投資をして大きく損をするのが怖いという場合は、ただ単にリスクの取りすぎです。自分のリスク許容度と投資額を見直しましょう。
補足:
まとまった資金がない人は積立当投資からはじめましょう。
いかに長く投資を継続するかが投資で成功するカギです。
最後までみていただき、ありがとうございました。
ご意見などありましたら、連絡いただければと思います。
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