投資戦略の前提となる理論を理解した上で、必要な知識を身につけよう

始める前に

こんにちは、元外資系ファンドマネジャーのやすたろです。

人生100年時代、貯蓄から投資へとの呼び声が高まり、投資に関心を持つ人が増えています。

そして、投資について調べてみようと関連する本や記事を集めてみたけど、投資手法が本によって違っていたり、なかには意見が真逆で矛盾していたりして、「結局どうすればいいの?」と迷っていたりしないですか?

意見が違うのは、前提となる考え方が違っているだけで、どの意見が間違えているというわけではないのです。しかし、この前提がわかっていないといくら勉強しても腑に落ちないという状態になってしまいます。

今回は、その前提となる考え方や、そこから導かれる投資手法について解説していきます。

これを知っているかどうかで今後の理解するスピードの大きな差がでてくるといっても過言ではありません。
なぜなら自分の投資スタンスと異なる手法の勉強をしてもあまり成果にはつながらないからです。
自分の投資スタンスを認識し、自分がとっている投資戦略に関連する知識を深めていきましょう。

 

市場は効率的だと思いますか?

まず、市場が効率的かどうかということです。

市場が効率的とは、実際に売買されている価格と本質的な価値に差がないということです。

市場が効率的であれば、市場をいくら分析しても割安な商品を見つけることができません。
逆に、市場が非効率で価格と価値にミスマッチがあれば、安く買って高くなったときに売るということができます。

  • 企業分析によってまだ評価されていない、価格に織り込まれていない要因をみつける
  • チャートを分析して、勝てる理論を発見する

このように、市場の歪みを探して儲けることができます。

 

市場が非効率だと思う人には集中投資

市場が非効率だと思う人には集中投資がむいています。
市場の歪みを発見して、発見した理論に基づき集中的に資金を投下します。

不確定要素を排除するために空売りや先物売りとセットで売買するのもよくある手法です。
A社の株価が他社より上昇すると思ったらA社の株を買ってA社のライバル企業の株を売るとかです。A社の株価がライバル企業の株価より上がりさえすれば、業界全体の動きに左右されずに安定的に収益を上げることができます。

また、市場は非効率だけど自分には戦略をみつけられないという人はアクティブファンドの投資信託を買うのもいいかもしれません。
あなたに変わってプロであるファンドマネジャーが運用を代行してくれます。

 

市場が効率的だと思う人には分散投資

市場が効率的だと考える人には分散投資がむいています。

「市場を分析しても割安な銘柄は発見できない」
そうであれば、幅広く投資を分散することで、一部で損がでても全体でカバーするというように分散効果によってリスクを低減することができます。

投資対象が増えることによって、必要な資金は増えてくるため自分で個別の株を買って分散投資を行おうとしても莫大な資金が必要になってきます(最低5億とか10億とか必要になってきます)。

では、どうするか?

インデックスに連動するファンドを購入するのです。

インデックス型の投資信託とかETFとかですね。

これらを活用することで、少ない資金でも分散投資をすることができます。

 
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アクティブ運用の分析手法

アクティブ運用に分析手法としては大きくわけて2つあります。

ファンダメンタル分析テクニカル分析です。
まずは、ファンダメンタル分析のほうから解説していきます。

 

ファンダメンタル分析

ファンダメンタル分析では、今後の経済や企業業績などの実態がどう変化するかを分析する手法です。

「これまでの想定以上に伸びてくる国はどこか?」
「新商品を発表したA社の業績は伸びるのか?」

こういう予想に対する仮説を立てて、その仮説に投資していきます。

あなたの投資に対するイメージもこれではないですか?

実際に経済ニュースをみても、経済アナリストとか大学教授、元大企業の経営者などがよく出演していることもからも、今後の市場予想に対する注目度は高さがわかります。

このファンダメンタルアプローチのなかでも、経済全体がどうなるかを予想するトップダウンアプローチと個別企業を分析するボトムアップアプローチに別れてきます。

 

トップダウンアプローチによる分析を行うためには、経済学の知識が必要になります。
金融政策財政政策を分析しても経済学がちゃんとわかっていなければ、どういう効果があるのか、またどういう副作用があるのは評価できないですからね。
そして、国内だけでなく、海外情勢や政治などの時事問題についても相応に詳しくなければいけません。

ボトムアップアプローチを行うためには、企業経営財務分析がわかっている必要があります。
経営がわかっていないと会社の戦略が理解できないし、財務分析ができないと最終的な会社の利益を把握することができません。
また、近年は時代の移り変わりが早くなっており、新商品や新しいテクノロジーに対する幅広い知識も要求されます。

 

投資でファンダメンタル分析を主軸に戦っていこうと思うと、このトップダウンアプローチとボトムアップアプローチの両方を深く理解しなければいけません。

そして、政策の実行や新商品の発売などから実際に成果がでてくるまでには時間がかかるため、投資期間は数ヶ月から数年と比較的長期になります。

 

テクニカル分析

テクニカル分析は経済の本質(ファンダメンタル)を分析するのではなく、短期的な受給のズレなどを小手先のテクニックによって分析する手法です。

チャートをみてパターンを発見したり、短期的な受給で似たようなものの価格に差が生じた場合に解消する方向にかけたりというような手法ですね。

また、市場は経済理論で動いているわけではなく、人が動かしています
よって、市場参加者の心理を読んだり、参加者の非合理的な制約などを理解したりすることで収益源になったりもします。

このテクニカル分析で成果をだすためには、まずチャート分析ができる必要があります。
ゴールデンクロスが起こったら上昇しやすいとかそういう定説を覚えろということではないですよ。
チャートのパターンから他の市場参加者がどういう気持ちでトレードをしているのかを理解しようということです。

そのためには、心理学行動経済学などの知識を学んで自分の分析に活かしていくのもいい手かもしれません。

また、参加者はみんな利益を上げるためだけに売買をしているわけではありません。

レバレッジをかけた取引で強制決済されるとか不本意な取引もあります(プロでも損失が大きくなるとポジションを縮小しろとか言われます)。
また、そもそも、決まったルールに従って売買しているだけというのもあります。
市場を動かせるほどの大口投資家の決まったルールがわかれば、先回りすれば儲けることができます。

テクニカル分析による投資は、短期的な価格のズレに焦点を当てているため投資期間は数分から数週間と投資期間は比較的短期になります。

 
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あなたはアクティブ運用で戦いますか?

いろいろとアクティブ運用を行うための理論を解説してきましたが、私はあなたにアクティブ運用を進めているわけではありません。

むしろ逆です。

アクティブ運用を行うためには、こんなにも幅広い知識を必要とされるということを知って欲しかったのです。
さらに、浅い知識では役に立ちません。
専門家といえるレベルの深い知識が要求されるのです。

ふつうの個人投資家であるあなたがこのような世界で勝ち残っていけると思いますか?

「ファンダメンタル分析は難しそうだけど、テクニカル分析なら、、。」

確かに、テクニカル分析は直感や主観的な判断が入りやすいため、取っつきやすくはあります。

しかし、IT技術の進歩もあり、短期的な取引は人ではなく機械が自動で行うようになっています。
価格のズレなどは人の目で確認できるほど長く放置されなくなってきているということです。
今は市場のクセなどから勝てていてもそれが来年通用するかはわからない。
そういうレベルまでシステムトレードが発展してきています。

もし、あなたが市場に勝っていけるだけの才能と知識があるのであればアクティブ運用をしてください。
インデックス運用の何倍も稼げるだろうし、市場をさらに効率化することで社会的な貢献にもなります。

しかし、あなたが平凡なふつうの個人投資家であるならば、インデックス運用をしたほうが得るものは大きいでしょう。

このブログでは、ふつうの個人投資家であるあなたが、インデックス運用で効率的に資産を増やすことに必要なことを解説しています。

「市場を分析しないインデックス運用なら、なにを買ってもいっしょじゃないの?」

インデックス運用の場合、市場に勝つための分析はしません。
しかし、市場に負けないための分析はします。
加点はできなくても失点を抑えることはできるのです。

そして、この失点を抑えるということがふつうの個人投資家ができる最善策だと確信しています。

 

最後までみていただき、ありがとうございました。
ご意見などありましたら、連絡いただければと思います。

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