こんにちは、元外資系ファンドマネジャーのやすたろです。
「年収が低くて老後の資金が貯められない」
「投資なんて金持ちがするものだ」
あなたはこういうふうに思ってはいないですか?
確かにあたっている部分もありますが、そうとはいいきれないところもあります。
それは、あなたの今の年収がいくらでも、老後に必要な金額を貯める難易度は変わらないということです。
今回は、たとえ今の収入が低くても老後の資金は貯められる、ということについて解説していきます。
老後のために必要な貯蓄額はいくらか知っていますか?
あなたは老後のために必要な貯蓄額はいくら必要か知っていますか?
「少し前に話題になったから2000万円」
「いやいや、年金制度が破綻しているもしれないから1億くらいはないと」
「そんなに貯められるわけない。1000万もあれば大丈夫だろ」
いろいろと思いはあると思いますが、具体的な数字に落とし込めている人は少ないのではないでしょか?
まず、老後にいくらの生活費が必要なのかですが、生活保険文化センターの調査によると、最低日常生活費が月額22.1万円、ゆとりある老後生活費は36.1万円となっています。
また、総務省の調査でも、60歳以上の無職世帯の消費は24.6万円となっています。
一方、老後のメインの収入源である公的年金の平均受給額ですが、厚生労働省によると、平成30年度の調査で国民年金が月額で5.5万円、厚生年金は14.7万円となっています。
ざっくりまとめると、平均の支出が25万円で収入が20万円なので月々5万円、年間で60万円足りない。
退職後の余命が30年あると60万x30年で1800万必要ということです。
こうやって計算してみると、いろいろと叩かれてしまった老後2000万問題はあながちおかしな数字ではないということです。
また、年金制度なんて崩壊するという意見もありますが、上の計算をみても明らかなように年金制度がなければほとんどの高齢者は生活できなくなってしまいますからそこまで考える必要はないかと思います(受給額はほぼ確実に減っていくとは思いますが、、、)。
“あなたが”老後のために必要な貯蓄額はいくらですか?
ところで、この平均の支出額である月額25万円という結果をみてあなたはどう思いましたか?
「そんなに使っているなんて今の高齢者は贅沢しすぎだ」
「自分は月25万円で生活なんてできない、もっと必要だ」
おそらく、月25万円も使わないという人もいれば、逆に足りないという人もいたりと自分に当てはまらないと感じる人は多いのではないでしょうか?
平均なんてそんなものです。
そして、その多い少ないという判断は今の生活にいくら使っているか、今の生活水準がベースになっていないですか?
今の生活費が20万円で子供2人を育てている人からしたら老後に25万円も使えるなんて贅沢なことでしょう。
一方で、今ばりばり稼いでいて月50万も100万も使って贅沢している人からしたら、25万円の生活は窮屈に感じることでしょう。
収入が多くて、生活水準が高い人は老後に必要な貯蓄額の量が多くなります。
逆に、収入が少なくてもうまくやりくりして支出が少ない人は老後の資金も少なくていいはずです。
金額ではなく比率で考える
人によって、老後に必要な貯蓄額は変わる
必要な貯蓄額は今の生活水準に依存する
そうであれば、貯蓄は金額ではなく、今の生活費を基準とした比率で考えるべきです。
例えば、老後の生活費は今の生活費の6割で今の生活水準を維持できると考えたとしましょう。
今は月40万円で子育てして、住宅ローンも払っているとして、老後は子供の教育費も住宅ローンもかからなくなり24万でも今の水準を維持できる、みたいな想定ですね。
この場合、必要な老後の資金は余命が30年だとすると0.6x30年で今の生活費の18年分の資金が必要になるということです。
「そんなに貯められるわけがない!」
焦らないでください。
ここから老後のメインの収入である公的年金や退職金などを控除していきます。
まず、公的年金ですが、今の受給額でみると25万の支出に対して、20万の給付なので現在は平均で80%がカバーされていることになります。
しかし、今の現役世代を考えると、給付額は徐々に減少していくことが見込まれるため、保守的に60%の給付になると仮定すると、
あなたが溜める必要がある資金は18年分x0.4となり7.2年分となります。
さらに、退職金が4年分程度(年収対比ではなく生活費対比ですよ)でるとすると、溜める必要がある資金は3.2年分となります。
今の年収が高かろうが低かろうが今の生活費の3.2年分を貯めればいいのです。
収入の一定比率が生活費だとすれば、老後資金を溜めるのに年収に関係ないということがわかるでしょ?
先ほどの月40万円で生活している家計の例でいうと、40万x12ヶ月x3.2年=1536万となります。
これが、この人が溜める必要がある老後資金です。
典型的な例のため、一般的に必要だと言われている金額と同じような結果となりましたが、これをあなたの場合に当てはまめると自分にとっての老後資金がざっくりと計算できるため、イメージはつきやすいかと思います(住宅ローンの繰り上げ返済で退職金が残らないとか、老後に必要な資金の比率がもっと高いとか、人によっていろいろと微調整が必要です)。
老後までに投資に回す資金の割合
で、老後資金である、今の生活費の3.2年分を溜めるためにコツコツと貯金をしていってもいいですが、投資に回したほうが効率的ということについて説明します。
もし、あなたが30代で老後までの30年間の貯金で老後資金を蓄えようと思うのであれば毎年10%の貯金をすることで、生活費の3.3年分を溜めることができます(年収の3年分ですが生活費は貯蓄に回している10%を除いた90%なので、3÷0.9となります)。
では、必要な金額を投資で貯めていこうと思ったら、毎年いくら投資に回す必要があるのでしょうか?
投資のリターンを4%として計算すると、なんと半分の5%を毎年投資に回すだけで老後に必要な生活費を溜めることができます。
もちろん投資なので減る可能性もありますが、長期になればなるほど損をだす確率は下がりますし、正しく投資をするのであれば割の良い勝負だと思います。
もし、あなたが40代であれば、年収の10%ずつを積み立てていけばいいし、50代なら25%ずつ積み立てていけば良い計算になります。
歳をとればとるほど、投資に回す比率が高まるし、子供がいれば支出も増えて大変な時期だと思います。
また、歳をとれば投資で失敗したときの挽回がしにくくなるので、貯金の比率を高めていく必要もあります。
なので、なるべく早く投資を始めたほうが後々楽になるということです。
(念のためにいっておきますが、歳をとったら投資をしないほうがいいといっているわけではありませんよ?)
では、老後までに十分に資金を貯められなかったら生活が破綻するのかというとそういうわけではありません。
働けばいいのです。
昔は、体の自由が効かなくなって働けなくなるから定年を定めていましたが、今は定年を迎えても元気な人は多く、定年後のセカンドキャリアを満喫している人も多くいます。
むしろ、定年後も働くというのがこれからの標準となってきそうです。
逆にいうと、定年までに老後に必要な資金を貯めておくと、お金のためではなく、自分が本当にしたいことをセカンドキャリアとして選択できるという幅が広がるのです。
あなたはどういう選択をしたいですか?
今回のテーマのまとめ
主張:年収がいくらでも老後に必要な金額を貯める難易度は変わらない
理由:収入が多い人はそのぶん消費も多く、より多くの老後資産を準備する必要があるため、比率で考えると難易度は変わらない
対処法:なるべく若いうちから収入に対し、一定の比率の投資を行うことで老後資金を小さな負担で溜めることができる
最後までみていただき、ありがとうございました。
ご意見などありましたら、連絡いただければと思います。
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