ふつうの個人投資家にとって株式の長期インデックス投資が最適

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ふつうの個人投資家にとって株式の長期インデックス投資が最適

こんにちは、元外資系ファンドマネジャーのやすたろです。

今回は、ふつうの個人投資家にとって株式の長期インデックス投資が最適ということを説明していきたいと思います。

個人投資家にとって投資対象となる金融商品

その前に、このブログは投資初心者向けに書いていますので、まずは個人投資家にとって投資対象となり得るものについて解説していきたいと思います。

個人投資家にとって投資対象となる金融商品

  • 株式
  • 債券
  • 不動産
  • 投資信託・ファンド

これ以外にも投資商品といわれているものもありますが、正直投資といえるものなのか疑問もありますので、ここでは割愛しておきます。

株式

投資の王道ですね。
投資初心者にとってもイメージがつきやすいものではないでしょうか?

「会社はだれのものか?」

「株主のものです!」

会社の所有権を小口化して証券化したものが株式です。
要は、株式を購入して株主になるということは、会社のオーナーになるということです。

この株式、証券取引所に上場されており、自由に売買できるため、株価は企業の業績だけでなく、その時々の受給や情勢に左右されます。
そして、急成長した会社の株価は大きく上昇する一方、潰れた時は価値がなくなるなど高リスクの金融商品になります。

債券

国債や社債への投資もありますが、株式ほど一般的ではないのではないでしょうか?

国債とは国が発行する借金を証券化したもの、社債とは企業が発行する借金を証券化したものです。

商品としては、個人向け国債とかソフトバンク社債とかが有名ですかね?

クーポンという利息が額面に対して何%というふうに決まっており、クーポン分の利息を受け取ることができます。また、5年とか10年とか満期があり、満期のときに最初に投資した元本が帰ってきます。

株式との違いは債券を持っていたからといってオーナーになれるわけではありません。
債券を保有するということはその国や企業に資金を貸しているということです。

なので、企業がどういう状態になろうと、潰れない限りは決まった利息が受け取れるし、逆に企業の業績がいくら堅調でも決まった利息しか受け取ることはできません。また、潰れたとしても精算したときに資金が残っていれば元本が返却されることもあります。

株式に比べると大きく稼げるチャンスはありませんが、低リスクの商品になります。

不動産

これもイメージがつきやすいかと思います。

はい、大家さんになるということですね。

儲けの仕組みとしては、土地や建物を購入して、店子に部屋を貸しだします。そして、月いくらという家賃が不動産投資の収益になります。

不動産投資は月の賃貸収入が決まっているので、短期的には債券と同じような性質を示します。しかし、景気によって空室となることがあったり、受給で毎月の家賃が変わったりと長期的には株式のような性質を示すようになります。

投資信託・ファンド

投資信託とかファンドとか呼ばれますが、基本的には同じものと考えても大丈夫です。

聞いたことはあるけど、どういうものか分かっていない人も多いのではないでしょうか?

要は、個別の金融商品を詰め込んだパッケージ商品です。

いろいろな株式に投資したファンドが株式ファンド、いろいろな債券に投資したファンドが債券ファンド、いろいろな不動産に投資したものがリートファンドとなります。
また、いろいろな株式や債券など複数資産に投資するバランスファンドというものもあります。

なぜ、複数の商品に分散して投資をするかといえば、収益が安定するからです。

例えば、100個のうち、5つの価格がゼロになるけど残りの95個は倍になる商品群があったとします。
このなかから1つだけを選ぶ場合は、もしかしたら損するかもしれないと不安になるかもしれませんが、100個すべてを買っている人からすればこんなに美味しい投資はありません。ひとつ1万円ずつで100万円投資したら必ず190万円になるのですから。
実際の投資では、この100個のうち何個がゼロになるか事前に分かりませんが、分散投資をするメリットは十分あります。
ただ、個人投資家が個人でこの分散投資を行おうとすると多額の資金が必要になるのです。最低取引額10万円の株式を100銘柄で分散投資すると1000万必要になるように。

そういう個人投資家のためにファンドがあるのです。

また、ファンドにはインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があります。

インデックスファンド

インデックスファンドとは、「日経平均株価」とか海外だと「ニューヨークダウ」とか、指数に連動した動きとなるように作られたファンドです。指数自体が複数商品の合成でつくられており、その国全体の景気や経済と連動するともいえます。

インデックスファンドの運用者(ファンドマネジャーといいます)は指数の比率の通りにファンドに組み入れられている銘柄の比率を“受け身で決める”ことからパッシブファンドと呼ぶこともあります。

アクティブファンド

アクティブファンドとは、ファンドマネジャーが自分の裁量で、より儲かりそうな銘柄を買って、儲かりにくそうな銘柄を売るなど組み入れている銘柄の比率を“自分で決める”ことになります。

みなさんがイメージするファンドマネジャーはこれではないでしょうか?


それでは、ここからふつうの個人投資家にとって株式の長期インデックス投資が最適な理由を説明していきます。

複数の要素が入っていますので、以下の3つに分けて説明していきます。

  • なぜ株式ファンドへの投資なのか
  • なぜインデックスファンドなのか
  • なぜ長期投資なのか

なぜ株式ファンドへの投資が最適なのか

理論的には、十分に分散されているファンドであれば、株式ファンドであろうと債券ファンドであろうとなんでも自分のリスク許容度に合う商品を選べばいいと思います。

理論的にはね。

対リターンあたりのコストを考える

しかし、実際は株式ファンドしか主力の運用商品にならないと思っています。

なぜなら、期待リターンあたりの費用が一番安く済ませることができ、費用対効果(コストパフォーマンス)が一番優れているからです。

みんなもコスパ好きでしょ?

例えば、株式ファンドの期待リターンが7%、債券ファンドの期待リターンが1%として、どちらも信託報酬が1%だったらどうでしょうか?
費用控除後で株式ファンドは6%の期待リターンが得られる一方、債券ファンドの期待リターンは0%になってしまいます。
債券ファンドの購入者がリスクをとって稼いだ期待リターンがすべて証券会社や運用会社へ提供していることになります。

「こんな極端なことはない」とか思っていませんか?

いやいや、こういう商品は割とよくみかけますよ。

もうすでに投資を始めている人は自分が投資している商品はどれくらいの期待リターンがあって、どれくらい信託報酬などの手数料を払っているか考えたほうがいいです。

余談ですが、どんなに大手で立派にみえる金融機関と取引していても、金融リテラシーがない客はカモにされますよ?

これからの時代、資産運用はわからないではすまされなくなってきます。

そういう時代だからこそしっかりと金融の知識をつけて便利な道具として金融機関を利用していきましょう。

リスクを調整したい場合は買う量で調整する

「でも、株式ファンドはリスクが高いから、リスクの低いファンドがいい」

こういう意見もあると思います。

そういうときは、株式ファンドを少しだけ買いましょう

なにも余剰資金すべてで投資する必要はないのです。
投資資金の半分や3ぶんの1だけ株式ファンドに投資したほうが、手数料の割合が高いファンドを買うよりコスパが高いと思いませんか?

なぜインデックスファンドが最適なのか

個人投資家にとって投資対象となる金融商品のところで、

  • インデックスファンドは指数に連動するように運用を行う
  • アクティブファンドは多く儲かるように運用を行う

と説明したときに、
「指数に連動するより多く儲けられたほうがいいのではないか?」
と考えなかったでしょうか?

もちろん、多く儲けることができるほうがいいに決まっています。

しかし、多く儲かるように運用を行うことと多く儲かるかは別問題です。

そうです。

アクティブファンドは多く儲けるように運用を行いますが、実際に指数以上に勝てるファンドは少ないのです。

なぜか?

それを理解するためにまずは市場の効率性について説明していきます。

市場の効率性について

市場の効率性というのは、金融市場はどの程度、情報を価格に織り込んでいるかということです。

効率性が低いと実態経済と価格がバラバラに動くようになり、効率性が高くなると連動するようになります。

市場はどの程度効率的か?

市場の効率性がゼロだと考える人はいないと思います。

そして、問題は程度の話となってきます。

この市場の効率性を巡り、3つの説が唱えられました。

  • ウィーク型効率性
  • セミ・ストロング型効率性
  • ストロング型効率性

ざっくりと説明しますと、

ウィーク型効率性では、過去の価格情報は既に価格に織り込まれていると主張します。

ここでは、テクニカル分析で将来の価格は予想できないということです。

セミ・ストロング型効率性では、過去の価格情報に加え、一般の投資家が利用可能な情報も価格に織り込まれていると考えます。

こちらは、テクニカル分析もファンダメンタル分析も役にたたないとなります。

ストロング型効率性では、未公開情報も含めすべての情報が価格に織り込まれていると唱えます。

なんと、インサイダー情報までも無意味といいます。

現代では、セミ・ストロング型効率性が一番支持を集めています。

そして、現実的には少し緩めのセミ・ストロング型効率性だろうと考えられています。

要は、テクニカル分析やファンダメンタル分析で相場に勝つのは困難ということです。

なぜ市場は効率的なのか?

それではなぜ市場は効率的なのでしょうか?

それは、投資家や投機家が儲けようと必死で市場を分析しているからです。

価格が安い場合は買って価格を引き上げ、高い場合は売って価格を引き下げる。そうすることにより、価格は実態に近づき、市場は効率性を増していきます。

そうです。

アクティブファンドのファンドマネジャーなどプロの投資家が儲けるために市場を分析した結果、市場が効率化し超過収益を得ることが難しくなったのです。

見方を変えると、ただ指数に連動するインデックスファンドを購入しても市場が効率的であれば適切なリターンを得ることができるのです。

それではなぜ多くのアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないのか?

市場が効率的であればどちらのファンドのパフォーマンスも同じにならないと市場が効率的ではないことになってしまいます。←なんか哲学っぽいですね。

その理由はコストにあります。

インデックスファンドとは違い、アクティブファンドには、企業業績の分析や政策動向の調査など手間と費用がかかります。

そして、その費用は信託報酬というかたちで受益者に転嫁されるのです。

アクティブファンドもインデックスファンドも元々は同じパフォーマンス、しかし信託報酬の違いの分アクティブファンドはインデックスファンドに劣後するのです。

実際、アクティブファンドとインデックスファンドの信託報酬を見比べてみるとわかりますが、前者は1%以上、後者は0.3%程度と信託報酬に大きな差があります。

そして、インデックスファンドの受益者はアクティブファンドの受益者が高い費用を支払って効率化した市場にただ乗りしているともいうこともできるのです。

あなたは勝てるアクティブファンドを発見できますか?

もちろん、市場は完全に効率的なわけではないため、一部の天才ファンドマネジャーが運用するファンドはインデックスファンドより優れたパフォーマンスとなります。

「じゃあ、そのファンドマネジャーが運用するファンドを買えばいい」と思ったことでしょう。

しかし、どうやってその天才ファンドマネジャーを探しますか?

「過去のパフォーマンスで見分けられる」

と思うかもしれませんが、パフォーマンスにはバラツキがあるため運良く好成績を収めた偽物の天才ファンドマネジャーが紛れてしまうのです。

っていうか、好成績のファンドの大半はこの偽物によるものです。

それくらい、天才は少ないし、見分けるのは難しい。

それであれば、天才を見つけるより期待値の高いインデックスファンドへ投資するほうが賢明な判断だと思いませんか?

なぜ長期投資が最適なのか

それでは、最後、なぜ長期投資が最適なのか?

それは、市場が効率的で売買タイミングの判断がつかないのであれば、無駄な取引をして余計なコストを支払う必要はないということです。

無駄なコストとは売買にかかる手数料税金です。

売買にかかる手数料は想像がつくと思います。

購入時手数料とか売買手数料などです。

(最近はファンドであれば購入時手数料が無料のところも増えてきました)

そして、税金です。

こちらは見落としている人も多いのではないでしょうか?

今の法律上、資産運用にかかる税金は売却時の確定利益に対して課税されます。

いいかえれば、売却して利益を確定しない限り、いくら評価益がでていようと課税されません

「どうせ、将来売却したときに課税されるなら関係ないんじゃ?」と考えているあなた、

あまいですよ。

それでは、気づかないうちに投資のパフォーマンスを落とすことになっていますよ。

例えばこんなケースはどうでしょうか?

10年間、株式ファンドに投資を行い、投資資金を倍にしました。
しかし、市場がそろそろ下落しそうだと考え、一旦すべて売却しました。
その後、持っていた株式ファンドが5%下落するなか、資産を売り抜けていたため被害はゼロでした。
そして再度株式ファンドを購入し、その後の10年間で資産はさらに倍になったところで売却しました。


理想的な展開です。(実際は、効率的な市場では・・・いいたいこと分かりますよね?)

そして、この人にとっては一旦資産を逃しただけで自分はまっとうな投資をおこなっているという感覚でしょう。

では、この人の資金は最終的にいくらになるのでしょうか?

今の税金はざっくり利益に対して20%なので、20%として計算します。

最初の資金を100万として計算すると最初の10年で倍の200万となります。そして、売却したことで利益100万のうちの20%分、20万円が課税され、手元には180万が残ります。そして、その180万円を再度投資にまわし、10年後に税引き後で324万を手に入れます。

一方、何も売らずに保有し続けた場合はどうでしょうか?

最初の10年後に投資資金は200万になり、その後の5%の下落で190万になります。
それをさらに10年間投資することで380万、税金が56万円となり税引き後で324万となります。

“運良く”下落局面を回避できても、実際のパフォーマンスは変わらないということです。

もし、予想に反し市場が上昇もしくは変動しなければ、ずっと保有しておいたほうがよかったことになります。

もちろん、「いったん買ったら二度と売るな!」ということがいいたいわけではありません。資金需要が高まったら売却してください。

また、そんなに長期で投資できないからという判断で投資をしないのはもったいないですよ。余剰資金は短くても運用に回したほうが効率がいいです。

私が伝えたいのは、投資判断などの無駄な取引によって途中で運用を抜けるなということです。

今回のテーマのまとめ

以下が今回のテーマのまとめになります。

主張:ふつうの個人投資家にとって株式の長期インデックス投資が最適

理由:

  • 他のアセットクラスより株式ファンドはコスパがいい
  • 市場は効率的でアクティブファンドはインデックスファンドに勝てない
  • 長期保有で税金を繰り延べることができる

最後までみていただき、ありがとうございました。

ご意見などありましたら、連絡いただければと思います。

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